母親譲りの美しさを引き継いだのは、マツ、ただ一匹でした。今までどこで同様の和金を見ても、マツ以上は見つかっていません。最上の意味でマツと名付け、そのままに育ってくれました。
キレイな赤色の猩々和金で、各ヒレは形も良く大きくて、常に元気いっぱい泳いでは水中で大きな口をパクパクさせながら、全身でエサを催促していました。
記事とは関係ありません↓
赤斑の集団感染にもさらされず、健康で美しく、あまりに元気だったため、60センチ水槽は大型3匹にして、1匹だけ隣の45センチに移そうと考え、それにあろうことかマツを選んでしまったのです。
そこには青文魚のブンちゃんが、早くも金魚鉢を卒業して1匹だけ、余裕な空間で泳いでいました。丸いのと長いのは一緒にしない方がいいとか、お迎えして間もない場合の混泳は避けた方がいいとか、その頃は全く知らないままに…でした。
この同居って大丈夫なのだろうか…と少しは思いましたが、二匹とも元気に見えて、何の心配もいらないように思えました。しかし、マツは徐々に泳ぎが鈍くなっていたように思います。エサほしさに元気に見えただけで、たびたび水面に斜め45度のパクパクをする姿が……そう、エラ病の影が見えていたのです。
借用失礼します↓
冬に入っていたこともあり、多少泳ぎが緩慢になっていても低水温のせいと思ったのでしょう。正月の帰省前にいつも通りの水換えを済ませ、一週間近く留守にし、帰って来てから初めてようやくあのマツが、元気を無くしていることに気付いたのです。やはり、初めてのエラ病でした。
自家産は、生まれてこのかた水道水だけで育ち、室内で、あまり菌を知らない状態に近かったと思います。ちなみにマツはなぜかずっと、ブンちゃんの存在を見ないかのようにしてたのが、気にはなってました…(ブンちゃんはその後も、どの金魚にも嫌われ、相容れませんでした)。
まったく仲良くも、ケンカもする訳でもなく、性格も優秀だった和金マツは、穏やかな青文魚ブンちゃんと、ただ共にそこにいました。とにかくずっと健康で元気な金魚だったために、環境によるストレスが大きな原因となるエラ病の発見が、遅れたのです。
冬場の闘病は困難を極めました。長期にわたる塩水浴、強めの薬浴も行いました。何としても死なせたくない金魚だったので、必死でした。しかし、最期まで素直に頑張り抜いて、飼い主に諦めさせ、マツは静かにゆっくりと旅立ちました。享年6歳、まだまだ元気に生きられたであろう、とても大事な金魚でした。